スィルヴィノ

しかし最大のソロモン殺害計画が今や着々と進められていました。ペルナムブコ州の北方には、強盗一族が潜伏しており、その中でもアントニオ・スィルヴィノという男はその党首格として皆に恐れられていました。

そしてセレスティノというイタリア人の祭司は、ソロモンを亡きものにすべく、なんとこのアントニオを殺し屋に雇ったのです!

殺し屋はソロモンがある朝、モガンガという村を訪れることをかぎつけ、その村近くの道に潜伏していました。はたして朝五時頃、馬でそこを通りかかったソロモンは、前方に二連銃をもった男が立っているのに気付きます。

「ああ、猟をしているんだな」と思ったソロモンは馬を止めると、この男に親しみを込めてあいさつし、それから去って行きました。

暗殺計画のことを聞きつけたモガンガの村人たちはソロモンが無傷で村にやって来たのをみて驚き、その日の礼拝には今まで以上に大勢の人が集まり、夜半近くまで集会は続きました。

殺し屋との会話

「トントントン、、、」ドアを叩く音がします。集会が終わりハンモックで休んでいたソロモンは目を覚ましました。「私はアントニオ・スィルヴァノだ。セニョール・ソロマオに用がある。」

〈もはや、これまでか。〉ソロモンの胸の動悸は速くなりました。自分の生涯に幕が閉じられようとしていることを悟った彼はひざまずき、「主よ、死においても良き証しをすることができるよう私に力を与えてください。」と祈りました。

こうして意を決したソロモンはスィルヴァノを迎え入れました。

「私が何者か知っていますか。そして何のためにここに来たかを?」殺し屋は尋ねました。
「ええ、あなたは首領アントニオ・スィルヴァノであり、雇われて私を殺しに来たんでしょう。」
「その通り。」

ソロモンは目を閉じ、最後の祈りを捧げました。そしてもう見ることはないであろう妻と子供たちのために祈りました。

しかし次の瞬間、信じられないことが起こりました。なんと、この殺し屋は目に涙を浮かべ、ソロモンに次のような告白し始めたのです。

「私は祭司から、あなたが凶悪な男だということを聞いていました、しかし今朝、道端であなたは私にいんぎんにあいさつしてくれたー。それを覚えていますか。それですぐには殺さずもっとあなたのことを知ろうと私は思ったんです。そして今晩、信者をよそおって集会に参加したのです。そして、、、分かりました。あなたは実はいい人だってことが!」

こうして二人は明け方まで語り合い、祈りました。これまで66人もの人間を殺害してきたこの強盗首領は、こうして見事に回心し、キリストにある新生を体験したのです。

祈りによって命救われる

また彼は祈りの人でもありました。ある時、リスボン港からロンドン行きの船に乗ろうとしたソロモンの元に、「海峡が非常に荒れている」という電報が届きました。さて、そのままその日に船に乗り込むべきか、それとも次の便に延期すべきか。彼は祈りました。

その後その日の聖句をみると、「あなたの神、主が、この40年の間、荒野であなたを歩ませられた全行程を覚えていなければならない。それは、あなたを苦しめて、あなたを試み、あなたがその命令を守るかどうか、あなたの心のうちにあるものを知るためであった」(申8:2)とありました。

「よし、そのまま進もう。」平安を与えられたソロモンは船に乗り込み、そしてロンドンからニューヨーク行きの船マレスティック号に乗船しました。

みなさん、マレスティック号の次の船が何だったかご存じですか?なんと、かのタイタニック号―沈没した悲劇の大型客船―だったのです!もしもリスボンで彼が乗船を延期していたら、彼はタイタニック号の客人となっていたはずだったのです。

おわりに―ブラジルの今―

ソロモン・ギンスバーグは1927年4月1日に召されるまで、御霊に満たされ、ブラジルにおいて多くの働きをしました。

現在、ブラジルは、世界第二位の宣教師派遣国となっています。(2010年の調査では、40万人の宣教師のうち、ブラジルからは3万4000人が世界各地に遣わされています。ちなみに一位は米国で、12万7000人。)

北アフリカの某国にも、情熱的なブラジル人青年クリスチャンの群れがいたことを新鮮に覚えています。また旧ソ連諸国においても多くのブラジル人宣教師が活躍しているようです。

ソロモンが命がけで蒔いた福音の種は、100年近く経った今、確実にかの地で実を結んでいます。

しかしその一方で、ブラジルは世界でも有数のストリート・チルドレン大国でもあります。ブラジル政府の調査(2012年)によると、路上で生活している子供たちの数は2万3973人とされています。(出典)しかし実際はそれよりもずっと多い可能性が大です。

こういった少年・少女たちは幼い時から、犯罪、暴力、売春、麻薬といった悪のサイクルに巻き込まれ、悲惨な人生を今日も送っています。



私たちは心を合わせて、こういう子どもたちのために祈っていくことができます。また、実際に、彼らの元に行って、彼らに具体的な愛を示すことができます。

南ブラジルに、ナザレン教会のクリスチャンの運営する孤児院が二つあり、そこでは短期・長期のクリスチャン・ワーカーを募っています。ご関心のある方は、Canaan Land Ministriesをクリックしてください。

私たちの地上の人生は一回きりです。私たちはそれを自己実現のために用いることもできるし、あるいはキリストのしもべとなって、社会のもっとも低いところに降りていき、そこで地味な一粒の麦となることもできます。

あなたはそのどちらを選びますか?


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