前の記事からのつづきです。

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『グローバル性革命―自由という名における自由の破壊』 第15章

「新しい外観を装った全体主義への下り坂」
The Slippery Slope to Totalitarianism in a New Guiseより一部抜粋




しかし、幸福の約束が無制限の自由によって実現されると考えるのは間違っています。

制限が一切なく、自己流にしてただひたすら自己を満足させるようことを私たちに約束するようなイデオロギーは、やがて人を自己中心という無人地帯に追いやっていきます。

そして、それは抑制のきかない自らの本能という圧政(tyranny)に自らを引き渡す結果となるのです。

そのようなイデオロギーは、「おのれの魂にもっとも醜悪にして強烈な『暴君』性を潜在的に隠し持っている人物」が、実際に人々の上に専制君主として君臨することを良しとしていくのです。

プラトンはこういった絶対的自由のもたらす矛盾のことを、2500年近く前にすでに述べていました。

☆☆

不気味に現れつつある21世紀の全体主義は、20世紀のそれとは違った外観を装っています。

そこにはヒットラーを思わせるような口髭や軍靴の影はありません。

現代社会に生きる私たちは、現在の全体主義的傾向に気づかずにいます。

なぜなら、私たちは(ファシズム等)前世代の犯した数々の犯罪を振り返った上で、「今の私たちは先人たちとは違い、全体主義をあおるようなことはしていない」と思い込んでいるからです。


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しかし私たちが見落としているのは、「悪というのは常に、それぞれの時期に異なる形態を帯びる」という事です。

21世紀の新しい全体主義は、柔軟であり、今日もてはやされている価値観にもよく適応しています。それは肩に自由というショールさえまとっています。

しかしそうこうする間にも、それはしたたかに、「自由のために必要な諸条件」それ自体を破壊しつつあるのです。一歩、一歩と。

☆☆

またこの全体主義は、コミュニュケ―ションという分野においても、新しいテクノロジー手段を見事に使いこなしており、その潜在能力を今後の全体統制のために用いようとしています。


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それは人を盲目にさせ、混乱させようと試みています。

それは真理にいくつかの嘘を混ぜるかと思えば、今度は逆に、嘘の中に一粒の真理をまぶしたりするのです。

そうすると、人々は徐々に真偽を識別することができなくなっていき、そして最終的には、真理自体が、自由をはく奪する敵であるかのように勘違いされ疑われる段階まで進んでいきます。

その結果が、現在みられるような世論の流れです。

この潮流は非常に強力なものであるため、人々はもはや自分の知覚に信頼することができず、現行のイデオロギーに自らの判断を「お任せする」ようになっています。

しかし彼らが自身の体験および洞察力でもって見るなら、このイデオロギー(つまり男女の性的極性の否定)が虚偽であることは識別可能なのです。

☆☆

知的自由および真理探究という領域は、イデオロギーによって汚染されています。

そしてイデオロギーに汚染された思考というのは、現実それ自体を侵害しているのです。

――特に、一見すばらしいもののように思える活動理念の背後に潜んでいる政治的利害や権力にかかわる分野において、そのことが言えます。

☆☆

至上目標を達成すべく、あらゆる手段は正当化され、あらゆる嘘、虚偽、人為的操作が大義名分の名の下に正当化されます。

知的領域における真理の歪曲および侵害は、やがて人々に対する実際の暴力と化していきます

マール・マルクスは自分の机につき、『経済学批判(Capital: Critique of Political Economy)』を書きました。

――彼は誰も殺さなかったのです。

しかし、その後百年の間に、何千何百万という人命が、このユートピア思想のために犠牲となっていきました。


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イデオロギーが暴力と化する時 (ロシア革命)


そしてこのユートピアはたちまちの内に、一握りの犯罪ギャングが全権を掌握するための口実となっていったのです。

☆☆

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確かにマルキシズムもウーマン・リブ運動も、大衆の間にある真のニーズに基盤を置いてきたことは事実です。

前者は、労働者階級の困窮を終わらせるという約束をし、後者は、女性たちを困窮に追いやっているものに対し立ち上がるというスタンスを取りました。


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中絶合法化を要求するフェミニストたちのデモ行進、1970年代


しかし、現在起こっている文化革命は、抑圧されている大多数の人口集団(マジョリティー)の改善を呼びかけてはいないのです

むしろこの革命は、「新しい人類学」の名において、社会全体をまるごと変質させようと試みており、それも、ごく一部の人々の利害を満足させるためのものなのです。

☆☆

一般に容認された諸価値に仕えるというイデオロギー上の欺きは、全体主義的な権力構造が確立される上で絶対不可欠なものです。

そうして初めて、一部のマイノリティーによる支配が確実なものとされるからです

しかし現在は、かつてのマルキシズムのように解釈の砦の中で過去・現在・未来を圧縮するという「統合されたイデオロギー」がないような印象を受けます。

確かに今日の私たちには、自分の存在、性、倫理価値について、各人がそれらを解釈する自由が与えられていますし、そのように見えます。

しかしこの「自由」は、人間の存在条件および意志を否定する種類のものであり、他のイデオロギーと同様、やがて人に牙をむき、敵対していく性質のものなのです



ー引用終わり―

まことに主は強い御手をもって私を捕え、私にこう仰せられた。
この民の道を歩まないよう、私を戒めて仰せられた。

「この民が謀反と呼ぶことをみな、謀反と呼ぶな。
この民の恐れるものを恐れるな。おののくな。

万軍の主、この方を、聖なる方とし、
この方を、あなたがたの恐れ、
この方を、あなたがたのおののきとせよ。
そうすれば、この方が聖所となられる。

イザヤ8:11-14a



この世と調子を合わせてはいけません。

ローマ12:2a



また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人々に憎まれます。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます。

マタイ10:22



もし世があなたがたを憎むなら、世はあなたがたよりもわたしを先に憎んだことを知っておきなさい。

もしあなたがたがこの世のものであったなら、世は自分のものを愛したでしょう。

しかし、あなたがたは世のものではなく、かえってわたしが世からあなたがたを選び出したのです。それで世はあなたがたを憎むのです。

しもべはその主人にまさるものではない、とわたしがあなたがたに言ったことばを覚えておきなさい。

もし人々がわたしを迫害したなら、あなたがたをも迫害します。もし彼らがわたしのことばを守ったなら、あなたがたのことばをも守ります。

しかし彼らは、わたしの名のゆえに、あなたがたに対してそれらのことをみな行ないます。それは彼らがわたしを遣わした方を知らないからです。

ヨハネ15:18-21



祈り
主よ、私たちが世に妥協せず、最後の最後まであなたとあなたの御言葉に忠実であり続けることができるよう、弱い私たちを憐れみ、上よりの力を注いでください。イエス・キリストの御名によってお祈りします。アーメン。



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