ある日、窓の外をみると、




いかにも造りの悪い 一台の小型戦車が、



あちらにドシン、こちらにドシンと


ぶつかりながら、




坂道を 


駈け上っていくのがみえた。







ゴトゴトいう音と、砂埃で、


おだやかな牧草たちも 



おっかなびっくり 顔を上げている。







目を凝らしてみると、



例のオンボロ戦車は、


丘の中腹くらいのところで、



ついに カーブを曲がり損ね、



ひっくり返ってしまっているのがみえた。






車体の背を下に



オンボロ戦車は 


足をばたつかせ、泣きじゃくりながら、



必死に起き上がろうとしていた。






どこまでも広がる青空と、きらめく太陽。




銀色になびく草原の風の間を 


ライチョウの親子が すべってゆく。






こんなにすべてが 美しく 整っているのに、




それなのに 



この戦車は 丘陵のまんなかで


ひっくり返っている。






見ている私は、はたして



この光景を 笑っていいものか、


嘆いていいものか


分からずにいた。







そうして でも、



知らないうちに



いつしか このオンボロさんと


いっしょに泣いている自分に気づいた。




―――




人間存在の哀しさとこっけいさ




そして



信じられないほどの尊さ。


血の贖い。






主よ、


私たち人間を 


どうか憐れんでください。







両親の離婚の苦しみを乗り越えて――ディミトリス君(20)の救いの証し〔ギリシャ北部〕

嘆きと告白、そして祈りへの小道(A gentle invitation to Biblical lamentation and prayer)